環境基本法
循環型社会形成推進基本法
平成12年6月に公布された循環型社会形成推進基本法(基本的枠組み法)は、背景のもとに立法化されたものです。今日、廃棄物・リサイクルへの対処が緊急に必要であり、循環型社会の形成を早急に行い、その取り組みを実効あるものとしなければなりません。
循環型社会形成推進基本法の背景
廃棄物・リサイクル対策については、廃棄物処理法の改正、各種リサイクル法の制定等により拡充・整備が図られてきているが、今日、我が国が直面している廃棄物への対応は喫緊の課題となっている。
これらの問題の解決のため「大量生産・大量消費・大量廃棄」型の経済社会から脱却し、生産から流通、消費、廃棄に至るまで物質の効率的な利用やリサイクルを進めることにより、資源の消費が抑制され、環境への負荷が少ない「循環型社会」を形成することが急務となっている。
このため、循環型社会の形成を推進する基本的な枠組みとなる法律を制定し、
1)廃棄物・リサイクル対策を総合的かつ計画的に推進するための基盤を確立するとともに、
2)個別の廃棄物・リサイクル関係法律の整備と相まって、循環型社会の形成に向けた取り組みを実効あるものとする。
循環型社会形成推進基本法の概要
形成すべき「循環型社会」の姿を明確に提示
「循環型社会」とは、①廃棄物の発生抑制、②循環資源の循環的な利用及び③適正な処分が確保される事によって、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会。
法の対象と成る廃棄物等のうち有用なものを「循環資源」と定義
法の対象となる物を有価・無価を問わず「廃棄物等」とし、廃棄物のうち有用なものを「循環資源」と位置付け、その循環的な利用を促進。
処理の「優先順位」を初めて法定化
①発生抑制、②再使用、③再生利用、④熱回収、⑤適正処分と優先順位
国、地方公共団体、事業者及び国民の役割分担を明確化
循環型社会の形成に向け、国、地方公共団体、事業者及び国民が全体で取りくんでゆくため、これらの主体の責務を明確にする。特に
① 事業者、国民の「排出者責任」を明確化。
② 生産者が、自ら生産する製品等について使用され廃棄物となった後まで一定の責任を負う「拡大生産者責任」の一般原則を確立。
政府が「循環型社会形成推進基本計画」を策定
循環型社会の形成を総合的・計画的に進めるため、政府は「循環型社会形成推進基本計画」を次のような仕組みで策定。
① 原案は、中央環境審議会が意見を述べる指針に即して、環境大臣が策定。
② 計画の策定に当たっては、中央環境審議会が意見を聴取。
③ 計画は、政府一丸となった取組みをするため、関係大臣と協議し、閣議決定により策定
④ 計画の閣議決定があったときは、これを国会に報告。
⑤ 計画の策定期限、5年ごとの見直しを明記。
⑥ 国の他の計画は、循環型社会形成推進基本計画を基本とする。
循環型社会の形成のための国の施策を明示
・廃棄物の発生抑制のための措置
・「排出者責任」の徹底のための規制等の措置
・「拡大生産者責任」を踏まえた措置
(製品等の引き取り・循環的な利用の実施、製品等に関する事前評価)
・ 再生品の使用の促進
・ 環境の保全上の支障が生じる場合、原因事業者にその原状回復等の費用等を負担させる措置
資源有効利用促進法
循環型社会の構築のため、我が国のリサイクル社会構築の幕開けとなった再生資源の利用の促進に関する法律(平成3年施行)の改正が行われ、平成12年6月7日に資源の有効な利用の促進に関する法律(通称、資源有効利用促進法)として公布されました。この法律は廃棄物の発生抑制(リディユ-ス)、部品等の再使用(リユース)、使用済み製品等の原材料としての(リサイクル)を総合的に推進するための枠組みを整備したものです。
法律の概要
① 主務大臣(事業所管大臣および環境大臣)は、1)使用済み部品等および副産物の発生抑制、2)再生部品および再生資源の利用促進のため、基本方針を策定する。
② 1)使用済み部品等および副産物の発生抑制、2)再生部品および再生資源の利用、について、事業者、消費者、国、地方公共大臣の責務を規定する。
③ 新たに製品対策および副産物対策として以下の措置を講じる。
1)製品の省資源化・長寿命化による廃棄物の発生抑制対策(リデュース)
2)部品等の再使用対策(リユース)
3)事業者による使用済み製品の回収・リサイクル対策
4)使用済製品の分別回収のための表示
5)副産物の発生抑制・リサイクル対策
④ 上記製品対策および副産物対策について、主務大臣(事業所管大臣等)は、
1)対象製品および対象業種を政令で指定し、
2)事業者が取組むべき対策に関する判断の基準を省令で定め、
3)事業者の取組みが不十分な場合は勧告、事業者名の公表、命令の措置を行う。
対象業種・製品について
平成13年3月、政令において以下の7業種・42品目を新たに指定し、現行の3業種・30品目から10業種・69品目(一般廃棄物及び産業廃棄物の概ね5割をカバー)へと対象業種・対象製品を拡充し、判断の基準(省令)により事業者に対して3R(リデュース、リユース・リサイクル)の取組みを求めていくこととなっています。
1・特定省資源業種(工場内で副産物の発生抑制・リサイクルを求める業種)
特定省資源業種は副産物の発生抑制・リサイクルを計画的に促進するため、目標の設定、技術の向上等に積極的に自ら取組むことを求めるものです。
<新規:5業種>
・パルプ製造業及び紙製造業
・無機化学工業製品製造業及び有機化学工業製品製造業
・製鉄業及び製鋼・製鋼圧延業
・銅第一精錬・精製業
・自動車製造業
2・特定再利用業種(再生資源・再生部門の利用を求める業種)
特定再利用業種は、再生部品の利用(リユース)や再生資源の利用(リサイクル)を事業者に求めるものです。
<既指定:3業種(旧特定業種)>
・紙製造業
・ガラス容器製造業
・建築業
<新規:2業種>
・硬質塩化ビニル製の管・管継手の製造業
・複写機製造業
3・特定省資源化製品は、大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済システムの転換の第一歩として製品の省資源化や長寿命化等によって廃棄物としての発生自体を抑制するという、いわゆるリデュース対策を進めるものです。具体的には、製品の設計・製造段階でなるべく原材料等を節約するといった措置や、使用段階で消費者がなるべく長期間使用するような措置を講ずることなどが挙げられます。
<新規:19品目>
・自動車
・家電製品(テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、衣類乾燥機)
・パソコン
・ぱちんこ遊技機(回胴式遊技機を含む。>
・金属製家具(金属製の収納家具、棚、事業用机及び回転いす)
・ガス・石油機器(石油ストーブ、ガスグリル付こんろ等)
4・指定再利用促進製品は、リユース・リサイクル容易設計・製造(使用済みの製品から再生部品や再生資源が容易に取り出せる設計・製造)を行うことを求めるものです。
<既指定:20品目(旧第一種指定製品)>
・自動車
・家電製品(テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機)
・ニカド電池使用機器(電動工具、コードレスホン等の15品目)
<新規:32品目>
・家電製品の追加(電子レンジ、衣類乾燥機)
・ぱちんこ遊技機(回胴式遊技機を含む。)
・複写機
・金属製家具(金属製の収納家具、棚、事務用机及び回転いす)
・ガス・石油機器(石油ストーブ、ガスグリル付こんろ等)
・浴用ユニット、システムキッチン
・小型二次電池使用機器の追加(注1)
(注1)電源装置、誘導灯、火災警報設備、防犯警報装置、電動アシスト自転車、電動車いす、プリンター、携帯用データ収集装置、ファクシミリ装置、電話交換機、携帯電話用通信装置、非常用照明器具、血圧計、医薬品注入器、電気マッサージ器、電気気泡発生器
<廃止:2品目(日本語ワードプロセッサ、自動車電話用通信装置)>
5・指定表示製品(分別回収の利用の促進のため、使用済み製品が容易に分別収集が行われるために製品に表示をすることを求める措置です。
<概指定:4品目(旧第2種指定製品)>
・スチール製の缶、アルミニュウム製の缶
・ペットボトル
・小型二次電池(密閉型ニッケル・カドミウム蓄電池)
<新規:10品目>
・塩化ビニル製建設資材(硬質塩化ビニル製の管・雨どい・窓枠、塩化ビニル製の床材、壁紙)
・紙製容器包装、プラスチック製容器包装
・小型二次電池(小型シール鉛蓄電池、密閉型ニッケル・水素蓄電池、リチウム二次電池の追加)
6・指定再資源化製品(使用済製品の自主回収・再資源化を求める製品)
<概指定:4品目(旧第2種指定製品)>
・スチール製の缶、アルミニュウム製の缶
・ペットボトル
・小型二次電池(密閉型ニッケル・カドミウム蓄電池)
<新規:10品目>
・塩化ビニル製建設資材(硬質塩化ビニル製の管・雨どい・窓枠、塩化ビニル製の床材、壁紙)
・紙製容器包装、プラスチック製容器包装
・小型二次電池(小型シール鉛蓄電池、密閉型ニッケル・水素蓄電池、リチウム二次電池の追加)
7・指定副産物(利用を促進する副産物)
指定副産物は、事業活動で発生する副産物のうち、再生資源として利用を促進させるよう品質の工夫などを計画的に実施すべきものです。
<概指定:5品目>
・電気業の石炭灰
・建設業の土砂
・建設業のコンクリートの塊
・建設業のアスファルト・コンクリートの塊
・建設業の木材
改正廃棄物処理法
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(通称、廃棄物処理法)は昭和45年のいわゆる公害国会において、廃棄物の処理責任者、処理方法、処理施設、処理業等を規制する目的で制定されました。その中でPPP(汚染者負担の原則)の考えが適用され、産業廃棄物の排出事業者の処理責任が明確化されましたが、その後、数回の改正があり、今回の改正は平成13年4月にスタートします。
廃棄物排出量の急増で、適正処理が困難になる中、平成3年に改正
① 法律の目的に、排出抑制、分別、リサイクルに係わることを追加
② 有害廃棄物(医療系廃棄物等)の規制強化
③ 廃棄物処理センター制度の創設
④ 廃タイヤ等の適正処理困難物の指定制度創設
⑤ 国民の責務に分別排出等等の施策への協力を追加。市町村等での廃棄物減量等推進審議会等の設置
不法投棄事件、ダイオキシン類問題等をきっかけに、産業廃棄物処理の信頼性、安全性の向上等を図るために平成6年に改正
① 処理施設の設置の手続き等の強化
② マニフェスト(廃棄物管理票)制度の拡充
③ 不法投棄等への罰則の大幅強化
④ 産業廃棄物の多量排出業者に対する減量等計画作成の指示及び廃棄物の再利用に係わる規制緩和(現在、廃タイヤのセメント原料利用等が指定)
今回は、最終処分場等の処理施設不足、不法投棄の増加等から、循環型社会形成のための適正処分体制の観点から改正
① 産業廃棄物の不適正処理対策の強化;マニフェスト制度の強化(排出事業者の最終処分までの把握を義務付け)。現状回復等の措置命令の対象に、適正な対価を負担していない排出事業者等を追加。
② 廃棄物処理事業の信頼確保;廃棄物処理業及び処理施設の許可要件、取消要件を強化。周辺環境への配慮についても強化。
③ 公共関与による廃棄物処理施設の整備;廃棄物処理施設整備促進の為、都道府県等の公共関与の規定を整備。
④ 廃棄物のリサイクル等減量化の推進;廃棄物の減量等について国が基本方針を策定、都道府県が処理計画を策定。産業廃棄物の多量排出事業者の減量計画策定を義務付けた上、内容の公表、実施状況の報告等を義務付け。